上田里美の冤罪(八幡東病院 爪ケア事件)弁護士とその後は?

上田里美看護師 画像

2007年7月に福岡県の北九州八幡東病院で起きた「爪ケア冤罪事件」を7月5日放送の奇跡体験!アンビリバボーが特集する。

 

冤罪事件の犯人に仕立て上げられたのは、同病院に勤務していた上田里美看護課長で、同僚看護師の内部告発により刑事事件に発展。

 

上田里美看護師が前に居た病棟では入院患者のフットケアが行われていたが、新しく異動になった病棟ではフットケアに対して何も行われていなかったため、虐待が疑われてしまったのだ。

 

また、病院側もきちんと調べずに記者会見を開き、認知症患者の爪をはいで虐待したと発表した。

 

マスコミも病院側が発表したことをそのまま報道したため、騒ぎが大きくなり、上田看護師は傷害罪で告訴されたのである。

 

さらに上田看護師はこの冤罪事件により、北九州市の虐待認定と懲戒解雇の処分が下された。

 

警察の調べに対しても無罪を訴えるが、理解してもらえない状況が続いたのだ。

 

結局、上田看護師は警察の調書にサインしてしまい、1審で有罪判決が下った。

 

日本では刑事裁判の有罪率が99.9%と言われていて、上田看護師も万事休すかと思われたが、これを東敦子弁護士が逆転無罪にしたのである。

 

今回は北九州八幡東病院の「爪ケア冤罪事件」を担当した東敦子弁護士や、上田里美看護師のその後などについて探っていこうと思う。

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上田里美の冤罪(八幡東病院 爪ケア事件)とは

北九州八幡東病院の「爪ケア冤罪事件」とは、上田里美看護課長が同病院に入院する高齢患者の爪をはがして虐待したとして、傷害容疑で逮捕された事件。

 

事件のほったんは、部下3人による内部告発だった。

 

当時の上田看護師は異動してきたばかり。

 

そんな上田看護師を部下は面白く思っていなかったのか、コミュニケーションも全く取れていなかったという。

 

人間関係が良かったなら部下も本人に爪のことを確かめるだろうし、そもそも今回の事件は起こっていなかったはず。

 

部下との関係が悪かったから内部告発したのだろう。

 

ただ、部下もいいかげんで、上田看護師が患者の爪をはぐところを見ていなかった。

 

それにフットケアの知識が乏しく、患者の爪から皮膚が見えるのを「爪がはがれている」と勘違いしたのである。

 

また、病院側も決定的な証拠がないのに会見に踏み切った。

 

病院側も告発した看護師と同様フットケアの知識が無かったのか、よく調べもせずに虐待を認識し、上田看護師を懲戒解雇したのだ。

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上田里美看護師の家族

傷害容疑で逮捕された上田里美看護師は、102日間にわたり拘留された。

 

拘留されている間、取り調べが行われるのだが、いくら無罪を主張しても警察は聞き入れてくれなかったという。

 

それどころか上田看護師の調書には、本人の言ったこととまったく違う文章が書きこまれていたそうだ。

 

冤罪事件のパターンとして、いつもあるのが、つらい取り調べから逃れたいと、自白調書にサインをしてしまうことだ。

 

上田看護師も同様で自白調書にサインをしなければ一生終わらないと思い、ついついサインしてしまった。

 

そんな上田看護師は4人家族で、2人の子供と夫がいるという。

 

母親が拘留されている間、子供は無罪を信じて、ちゃんと学校に通い、夫は「家のことは何も心配しなくていい」と支えてくれていたそうだ。

上田里美看護師の冤罪事件を担当した弁護士

警察の取り調べから逃れるために虐待を認める調書にサインしてしまった上田里美看護師は、再び無罪を主張したが、1審判決では有罪が下った。

 

だが、担当していた東敦子弁護士が、第2審で無罪判決を勝ち取ったのである。

 

東敦子弁護士は、福岡県北九州市にある「黒崎合同法律事務所」所属の弁護士で、あの有名な「北九州連続監禁事件」の被害者の遺族給付金裁判で勝訴した女性弁護士だ。

 

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この事件は、緒方松永太死刑囚と内縁の妻・緒方純子被告が共犯となって被害者を監禁し、17歳の少女が監禁されていたマンションを脱出して発覚した事件だった。

 

東敦子弁護士が担当したのは遺族給付金の方で、事件によって給付金の申請権が得られる条件には「犯罪被害の発生日から7年」または「申請者が被害発生を知った日から2年」で消滅すると規定されている。

 

被害者の少女側は2006年2月に給付金を申請したが、事件発生から「7年を過ぎている」として不支給とされていた。

 

東敦子弁護士はそういった難しい事案や今回の冤罪事件を逆転させた優秀弁護士だったのである。

上田里美看護師のその後

北九州八幡東病院で起きた「爪ケア冤罪事件」で上田里美看護師は、第2審で無罪となった。

 

無罪が確定し、ようやく冤罪が認められたわけだが、その後は「はいそうですか」で済むはずはない。

 

上田看護師は懲戒解雇されたことに「解雇は不当」として、病院側に懲戒解雇の撤回と約1600万円の損害賠償を求める民事訴訟、北九州市には虐待認定取り消しを求める訴えを起こしたのだ。

 

そして逮捕から約4年半が経過し、一連の訴訟が全面解決となった。

 

和解内容は、懲戒解雇の撤回と、退職金を含んだ金銭面で病院側と解決。

 

北九州市とも虐待認定の見直しで虐待が取り消されたのだった。

 

また、その後の上田看護師はというと、現在は別の病院に勤めているようだ。

 

当然といえば当然のことで、犯人扱いされた病院に勤める気があるはずもなく、上田看護師は保釈後に求人誌で見つけた病院へ面接に行って就職した。

 

ちなみに勤めていた北九州八幡東病院については、訴訟で和解が成立しているため、円満退職扱いになっている。

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