歌丸師匠の死因は若い頃のタバコ?奥さんの説得で現役続行するも
落語家の桂歌丸師匠(享年81)が死去して4年が経ちます。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)が死因だった歌丸師匠は、2017年4月16日に肺炎のため、横浜市内の病院に入院していました。
一時は退院して体調管理に努めていたらしいのですが、6月2日に呼吸が困難となったため横浜市内の病院を受診。
左肺炎慢性呼吸不全の急性増悪と診断され、再入院していたといいます。
ここ数年の歌丸師匠は、若い頃から吸っていたタバコが原因で患った「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」、「帯状疱疹」、「腸閉塞」、「肺炎】などの病気で入退院の繰り返し。
生前の体重も36キロまでに減少するなど、”激痩せ”ぶりが目立っていたのです。
その後も入退院を繰り返しながら仕事に精を出していましたが、2018年4月29日に重い肺炎を患い入院。
そこで今回は、死因となったCOPDの原因や、病気を患った後の余命に至るまでをまとめてみました。
歌丸師匠が若い頃から吸っていたタバコの銘柄
5代目『笑点』の司会者として君臨していた桂歌丸師匠は、2017年5月に番組の司会を降板して大きな話題になりました。
降板の理由は、体調不良のため。
ここ数年、慢性閉塞性肺疾患、帯状疱疹、腸閉塞、肺炎などの病気で入退院を繰り返していたのです。
なので、病気のために引退を考えたこともあったとか。
しかし、奥さん(冨士子さん)から「あなたが落語辞めたら張り合いがなくなる」と、説得されて現役続行を決意したそうです。
そんな歌丸師匠は73歳のとき、慢性閉塞性肺疾患(COPD)と診断され、高座までは車いすで向かっていたといいます。
また、数メートル歩くだけで息切れするため、自宅でも酸素吸入器をつけた在宅酸素療法を実施。
体調不良で入院した際、診断された病気の「左肺炎慢性呼吸不全」も、元はというとCOPDが原因だったのです。
なお、死因となった慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは、タバコの煙を主とする有毒物質を長期間吸入することによって生じる肺の炎症による病気。
歌丸師匠は、若い頃から缶ピースのタバコを1日50本吸ってきたといい、体の異変に気付いたのは68歳のとき。
最初は、風邪に似た症状だったそうです。
(若い頃の歌丸師匠)
そのことを踏まえても、さすがに若い頃からタバコを1日50本も吸うと、体に悪影響を及ぼすことになります。(銘柄は20歳から70歳頃まで、50本入りの缶ピース1缶)
死因となった慢性閉塞性肺疾患COPDは、タバコの本数に限らず、煙などの有害物質によって、肺が炎症を起してしまいます。
それでも体の異変に気付いた当初は、かかりつけの医者に診てもらっていたため、ただの風邪ということで処理されたとか。
ところが、5年以上経って専門医のところで精密検査をすると、COPDと判明。
このときからすでに症状は進んでいたのです。
医者からCOPDという病気の原因が、「若い頃からのタバコ」と聞かされた歌丸師匠は、「今考えてみれば、もっと早く(タバコを)やめていればよかった。」と語っていたそうです。
歌丸師匠の死因は肺炎ではなかった
桂歌丸師匠は、2017年4月16日から「細菌性肺炎」で入院していました。
その後、退院しているのですが、細菌性肺炎を患って入院していたのは、酸素の過剰吸入が原因だったそうです。
このときの肺炎の原因は、通常のウイルス感染ではなく、酸素の過剰吸入が誘発するという珍しいケースだったのです。
歌丸師匠は2009年にCOPDが発覚してから、2017年1月2日にも、風邪をこじらせて軽い肺炎で入院。
そのため生前は、日常生活でも酸素吸入器が手放せなくなっていた。
その状態で、寄席の昼夜2回公演をこなしていたということですが、これが呼吸器への大きな負担となったようです。
当時から、相当な息苦しさを感じていたという歌丸師匠。
息苦しさを緩和し、翌日以降の寄席に備えるために、担当医の指示以上の酸素を体に取り込もうとして流出量を増設していたといいます。
関係者は「それが裏目に出た」と話しているとか。
本来、人間の体は酸素が与えられすぎると、酸素が足りていると勘違いをして呼吸を休んでしまいます。
呼吸をしないと二酸化炭素が排出されず、体内に充満する。
そうすると、唾液などが食道に入らず気管に入る。
これが俗に言う誤嚥(ごえん)です。
それがもとで、肺に炎症が起きるケースがあるのだとか。
歌丸師匠が「細菌性肺炎」という病気を患ったのも、元をたどれば、死因の慢性閉塞性肺疾患(COPD)が原因です。
結局、「左肺炎慢性呼吸不全」、「細菌性肺炎」を患ったのも、すべてはCOPDによるものだったのです。
歌丸師匠が激痩せで余命がヤバかった?
桂歌丸師匠は、病気で激痩せしていると言われていましたが、もともと昔から痩せていたようです。
しかも、痩せていることが原因で2015年、2016年に腸閉塞を患い、体重は36キロまで減少。
医師からは「痩せているから腸閉塞になりやすい。太ってください」と言われていたそうです。
そして、歌丸師匠が患っていた慢性閉塞性肺疾患(COPD)ですが、この病気は40歳以上に多くみられ、男性は死因別死亡数の第8位。
しかも、肺炎による死亡者の実に95%を65歳以上の高齢者が占め、肺炎による死亡率は年齢とともに高くなっています。
高齢者は、体力や免疫の働きが低下しているため肺炎に感染しやすいのですが、典型的な症状が出にくいことが多く、発見が遅れて重症化しやすい。
重症になると呼吸不全におちいり、息苦しさのために日常生活ができなくなったり、かぜなどをきっかけに急に症状が悪化することを繰り返すそうです。
一方、生前の歌丸師匠がそうだったように、症状の悪化を繰り返すCOPDはなかなか治らないと言われています。
ただ、高齢者が肺炎などの急性疾患で食事がとれなくなり、痩せることはよくあるのですが、これは余命の末期とは言えません。
一時的な点滴や経管栄養で、再び食事ができるようになることも少なからずあるからです。
こうした急性疾患が治るかどうかは、治療してみないとわからないのですが、怖いのはCOPDの合併症。
肺に起こった炎症が呼吸器だけでなく、動脈硬化、不整脈、狭心症、心筋梗塞、脳卒中などの重篤な病気と併発を起こす危険があるのです。
ほかにも、喘息や肺がんなど、ほかの肺の病気を合併している場合も多く、喘息を合併していると生活の質が低下。
すなわち、余命を決定付けるのは、肺炎の合併など急性の偶発症によることが多くなるのです。