松本サリン事件の河野義行の現在は？信州大学生が犠牲に？
1995年3月20日に起きた「地下鉄サリン事件」は、日本中を震撼させた出来事のひとつです。
また、地下鉄サリン事件が起きる9か月前、長野県松本市北深志の住宅街で有毒ガスのサリンがまかれる事件が発生しています。
この事件は「松本サリン事件」と名付けられ、周辺に住んでいた信州大学の学生や会社員ら8人が死亡。
約590人が重軽症を負っています。
当初、長野県警は第1通報者だった、河野義行さんを容疑者と判断し、自宅を捜索。
さらにマスコミ各社も、警察から得た捜査情報を元に、河野義行さんを犯人視する報道を連日続けたのです。
ところが、同年7月9日、山梨県上九一色村のオウム教団施設内で、異臭騒ぎが発生。
教団施設の近所に住む住民が、「目の痛み」や「吐き気」を訴えた為、長野県警は山梨県警の協力で、オウム教団施設内の土砂を採取。
こうして長野県警は、「松本サリン事件」をオウム真理教による犯行の可能性もあるとみて、捜査を続けたのです。
すると、翌年3月20日に「地下鉄サリン事件」が発生。
この事件によって、「松本サリン事件」もオウム真理教の犯行だったことが判明。
しかし、長野県警は冤罪を着せた河野義行さんに遺憾の意を表明したのみで、公式な謝罪を行わず。
一方、河野義行さんを犯人扱いしていたマスコミ各社はというと、ほとんどのメディアが相次いで河野さんに、おわびや謝罪を表明。
ようやく河野義行さんの冤罪が晴れたのでした。
なお、猛毒のサリンガスを吸って重症だった妻の澄子さんは、意識不明の状態が回復しないまま、14年後の2008年8月、60歳で亡くなっています。
そこで、今回は「松本サリン事件」で冤罪を着せられた、河野義行さんの現在などに迫ってみようと思います。
松本サリン事件の河野義行の現在
松本サリン事件が発生した当日、河野家では、夫妻のほか、長女・真澄さん、次女・真紀さん、2人の娘さんたちもサリンを吸って入院。
息子で長男の仁志さんだけが入院せずに済んでいます。
なお、現在73歳になった河野義行さんはというと、生まれ故郷の愛知県に住んでいるとか。
その前は鹿児島市に移り住み、講演や犯罪被害者の支援活動を行っていたようです。
そもそも河野義行さんは、60歳を迎えるのを機に、少しゆっくりしようという理由から鹿児島に移住。
仕事から離れて、ゆっくりとした生活をしたいと考えたといいます。
また、なぜ住むところを鹿児島にしたのかというと、以前、鹿児島で講演したときに世話になった人から誘ってもらったのが、移住を決めるきっかけだったとか。
あとは、年金だけで十分暮らしていけること。
そして、寒いところは燃料代がかかるので、温かいところがいいだろうと考えた末、鹿児島を拠点先として選んだとか。
拠点先の鹿児島で河野義行さんは、鹿児島のすぐ隣にある「口之永良部島」で、自由気ままな生活を送っていたのです。
松本サリン事件で信州大学生が犠牲に
松本サリン事件の死者は8人。
その中には、第1通報者で冤罪に仕立て上げられた、河野義行さんの妻の澄子さんや、1人暮らしの信州大学生、会社員らの名前が。
千葉県南房総市出身の伊藤友視（当時26）さんは、事件当時、自宅マンションで交際中の彼女と電話をしていたときにサリンを吸い、「急に気持ちが悪くなった」と話したのを最後に、帰らぬ人となったのです。
また、富山市出身で信州大医学部6年だった安元三井（当時29歳）さんは、自宅マンションの4階で、窓を開けていた為サリンに襲われています。
犠牲者となった安元三井さんは、2年の浪人を経て、信州大医学部に入学。
将来は精神科医を希望していたといいます。
ほかにも、東京都新宿区出身の信州大学2年・阿部裕太（当時19歳）さん、静岡県掛川市出身の会社員・小林豊（当時23歳）さんも、猛毒サリンの犠牲者となったのです。
松本サリン事件とは
そもそもオウム教団が社会に対して、敵意を向けだしたのは、1990年2月の衆院選後。
麻原彰晃こと松本智津夫が「真理党」を結成し、麻原夫妻を含めた教団幹部25人が立候補しましたが、全員が落選。
この出来事が「教団を武装化させた」と言われています。
では、松本サリン事件を実行したオウム真理教は、なぜ長野県松本市の住宅街でサリンをまいたのか？
麻原彰晃は衆院選後、全世界にボツリヌス菌をまき、無差別殺人のテロを計画していたのです。
そして、テロを実行するために、幹部らを集めて化学兵器のサリンを製造するよう指示。
やがて、教団はサリンの生成に成功したのです。
なお、麻原彰晃はまず手始めに、サリンを使って創価学会の池田大作名誉会長を暗殺するよう指示しています。
しかし、計画は失敗。
今度は教団を批判していた滝本太郎弁護士を狙ったのですが、思うように行かずまたしても失敗したのです。
次に教団は、長野地方裁判所松本支部の裁判官の暗殺を計画。
当時、教団は松本支部道場の建設をめぐって住民と対立し、裁判になっていたといいます。
しかもその裁判は、住民側の訴訟が一部認められ、教団が不利な状況だったとか。
そこで、判決が出る直前の1994年6月、麻原彰晃はサリンを使って裁判官の殺害を計画。
実行を指示された7人の教団幹部が6月27日深夜、裁判官宿舎の西側に隣接する駐車場で、噴霧器を搭載したトラックからサリンを加熱気化させ、送風機でまいたのです。
この事件を「松本サリン事件」と呼び、8人が犠牲になっています。
ちなみに、暗殺するはずだった裁判官の宿舎で死者は出ていません。
※麻原彰晃に関する記事
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松本サリン事件の冤罪をマスコミが謝罪
1994年6月27日午後23時ごろ、教団幹部がまいた猛毒のサリンは、現場近くに住む河野義行さん宅や、隣接するマンションを襲いました。
事件当日、仕事を終え帰宅していた河野義行さんは、全くいつもと変わらない1日を過ごしていたといいます。
すると突然、妻の澄子さんが体調不良を訴え、飼っている2匹の犬が体をけいれんさせ、口から泡をふいて倒れたのです。
それに引き続いて、河野義行さん自身も体調がおかしくなり、慌てて119番通報。
この通報が後に、河野義行さんを冤罪へと巻き込むことになります。
翌日、長野県警は捜査本部を設置。
捜査指揮において「第一通報者の捜索は不可欠」と判断し、河野義行さん宅の捜索令状を取ったのです。
そして、河野義行さん宅を家宅捜索すると、20数種類の薬品と青酸化合物である青酸カリ、青酸銀を発見。
警察はますます疑いの目を向けることになります。
また、警察は119番通報する前の河野義行さんの行動にも注目していました。
それは、体調不良を訴えている妻に対して、河野義行さんは簡単な救急措置を施しながら、その場所を離れて119番通報したから。
この行動に警察は、「奥さんが苦しんでいるときに奥さんのところを離れる。こういうことはしない。あんたの行動は極めて不自然だ」と疑問を持ったのです。
さらに、事件当日、「河野義行さん宅の庭の池から、白い煙が発生した」という目撃情報もあったことから、疑惑がどんどん深まることに。
一方、マスコミの方も、河野義行さんを犯人視した報道を開始したのです。
ちなみに、救急隊員が到着した際、河野義行さんは家族で唯一入院せずに済んだ長男の手を握って、「だめかもしれない。後のことは頼んだぞ。」と言葉をかけています。
ところが、これをマスコミは、「会社員、事件の関与ほのめかす」という記事にして報道。
さらに、河野義行さんは救急隊員に「妻を助けてほしい。犬が死んだ。犬に毒を盛られたかもしれない。私自身体がおかしくなっている。」と話したのに、「会社員は救急隊員に薬品の調合を間違えた」と報じられたのです。
結局、河野義行さんは、地下鉄サリン事件が起きるまで犯人扱いを受けることに。
※地下鉄サリン事件に関する記事
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ただ、その間、1度も逮捕されずに済んだのは、河野義行さんの支援にあたった永田恒治弁護士のおかげだとされています。
また、河野義行さんを冤罪に仕立て上げた警察、犯人と決め付けて報じたマスコミですが、河野さんに対して直接謝罪をしていません。
産経新聞などマスコミ各社は、紙面などにおいて相次いで謝罪文を掲載したのみ。
週刊新潮に限っては、今もなお、謝罪は行われてないということです。
